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コーチング

コーチングとは:自分で考えて行動する能力を、コーチと呼ばれる相談役との対話の中から引き出す自己改善技術。1990年代に米国で社員育成技法として始まる(小学館デジタル大辞泉より)。林健太郎さんによれば「本当の人生を生きられるためのスイッチを自分で押す」決心を、コーチは時に粘り強く、本人よりも諦めず、対話から促してくれるのだといいます。人が変化する瞬間を見届けることにこだわる林さんにコーチングへの想いを伺いました。
(話し手… 合同会社ナンバーツー 林健太郎  聞き手… おおばやしあや)

※この記事を読むのにかかる時間…約10分

 

「普通の案件なら他のコーチへどうぞ」炎上案件も真っ向から受け止め、火消しに取り組む強さ

――林さんのクライアントさんは現在経営者の方が多いとお聞きしましたが、どのような悩みがあって林さんにコーチングを頼まれるのでしょう?

色々ですね。未だに、とりあえず頼んでおけば安心という人はいます。経営者たるものコーチの一人や二人いなくては…という人もいますし、本当にどうしようと困っている人も、会社を次のステップに成長させたいという人もいます。

 

――ちなみに、林さんがお好きなのはどういう依頼でしょうか?

本当にどうしようか真剣に悩んでいる案件です。私は、もう既に火が着ついちゃっているような炎上案件が大好きなんですね。普通の案件であれば普通のコーチに頼んでくださいという感じで(笑)。

 

――火消し好きとは…なんというか、とても頼もしいですね。ちなみにどうしようの炎上案件とは、例えばどんなものですか?

例えば部下、チームから全く信用されていない社長さんとか、完全に燃え尽きて疲れ果ててしまっている状態のリーダーとか、株主にそろそろ見捨てられそうな初代社長とか…大雑把に言うと企業再生の分野なんでしょうね。火がついている状態のものが好きですね。当然うまくいくことを目指して関わりますが、状況によっては白旗を上げる決断を手伝うこともあります。関係者が複数いる場合は、内部に入ってチームコーチングをしたり、人事施策などにぐいぐい介入したりすることもあります。経営企画室長を少しの間肩代わりする感じでしょうか。

 

――それで解決できたクライアントは、どんな感じで林さんのもとを去っていくのですか?

解決できた場合は去らないことが多いですね。予算によっては1回きりで終わってしまうこともありますが、色々対応して助けてくれそうなので引き続きお願いしますというケースが主です。「この部署の〇〇さんと△△さんがうまくいっていないんだけど、何とかしてくれない?」とか「この人が辞めそうなのを阻止したいけど、何とかならないか」とか「これを決めたいんだけど…」とかですね。何か便利屋のように「とりあえず林さんに言ってみよう」みたいなところがありますね(笑)。重宝がられて本当に色々なことが飛んできます。

 

――頼もしい。コンサルタントさんでもあまり対応しないようなことをしてくださるんですね。

コーチングが効果的であることの現れかと思います。定期的にその会社のリーダーに会ってコーチングをしているというのは、会社の中で誰がどういう視点で何を見ているかを定期的に観察することでもあり、より客観性をもった視点で「何がうまくいっていて、いっていないか」の全体像を把握している第三者が存在するということなんです。そのため、会社として緊急性が高い案件が発生した場合、特に人に関することだと「まず林さんに聞こう」となりますね。一から全部説明する必要がない存在ですから。

私は、外から会社をより良くなる方向に向かって支えるという役割を持っています。色々なことを知っていて、外部から臨機応変に支えられる…そんな存在はほぼ一択なので、先方のスケジュールに私が合わせるというよりは、最近では私のスケジュールありきで社員の方々の予定をやり繰りしてくださる会社さんも増えてきました。(※註:社名を伺いましたが誰もが知っているような有名企業さんです)

参照リンク:株式会社トライバルメディアハウス 池田社長 インタビュー

 

きれい過ぎるコーチングは変化につながりにくい?本質を見極めることの大切さ

――なるほど。相手の成長を考えて控える。それも小さいころからの人格形成と関わりがありそうですね。ちなみに、コーチングで失敗経験とか…ないんでしょうか?

コーチングの失敗は正直あまりないんです。強いて挙げるすると、かなり昔に実施したコーチングセッションが終わって「完璧だ!」と思ったことがあったんですね。自分の仕事に惚れ惚れするような感覚でした。「これはクライアントにものすごい変化が起きる!」と確信したのですが、数日後、その契約はクライアント側からの申し出で破棄された、なんてことがありました。今になって振り返ると、会話自体がきれいに流れ過ぎて、コーチングとしては成立しているんですけど、クライアントの望む変化に対してインパクトが全然出せていなかったんだと思います。多分、本質が捉えられていなかった。

 

――本質というのは?

その時のセッションのテーマは「仕事の中でのこれからの変容」だったんですが、クライアントにしてみれば、それは言葉として表層的に出てきたものであって、本来はそんなこと求めていなかったと思うんです。もしかしたら、会社からは変われと言われているけれど、本当は変わりたくない、というわだかまりを持っていたかもしれないんですよね。ただ、ご本人としてもそれを言語化できていなかった。だとしたら、思いを言語化するこを求めていたのかもしれない。そう考えると、本当に求めていることに触れることのないまま会話や行動計画が進んでしまったので、「まあ、アドバイスもらったけどこんなものか」程度のインパクトしか与えられなかったのだと思います。

 

――なるほど、これは林さんのコーチング初期の話ということですから、そういうケースは今扱ったら本当の必要が見えるという…?

そう思います。案件として受ける前に確認しておくべきこともたくさんあるでしょうし、「もっと本質的なテーマでやりませんか」と提案することも必要かもしれません。コーチが頑張ってその場の会話がきれいに進むことより、相手が時に感情をむき出しにできるような場を作ったほうが、行動変容のためにはいいときもあると、今は思っています。

 

いま経営者から信頼を得ているのは、変化を促進するための「スキルの確かさ、厳しさ、センスがあるから」

――そんな経験もしつつ。ある社長さんとのお話を拝見しましたが、林さんは今、既存のクライアントさん方にはとても信頼されていますよね。機密情報もたくさん知って、社員の心の状態にも入り込めて、ある意味危険人物になろうと思えばなれる関係性で、その会社や経営者と信頼を保ち続けているのはなぜだと思われますか?

なぜでしょう、それ聞いてみたいですね…。私が言うには、まず「どんな状態からも回復できる」スキルがあるからでしょうか。話し合いの場を荒らしたまま無責任に去らないですね。次に、何か変わるようなことをする、変化を起こす手をゆるめない、「このくらいでいいだろう」という妥協案での手打ちをしないことと、そのメンバーの中での隠れたポテンシャルもリスクも読み取って、指摘や行動をけしかけられるというか。あとは例えば、「今ここでこのメンバーが揃っていたら、こういうレベルの話ができていないとダメだよね」と直感で言えるようなセンスがあるのだと思います。そんな勘の良さですかね。

 

――それは小さいころからの人間観察の能力の賜物ということでしょうか。(参照:林健太郎について

まさにそれですね。もう少し詳しく言うと…人はたいてい、自分で自身をマネージメントしているときに「今が変化の時だな」と直感的にわかる筈なんですが、わりと先送りにする癖がある。「今やるとちょっと面倒だな」「次の機会にしようかな」と言って。でも実際はその直感が起きたタイミングで意思決定すべきだった、ということが結構多いんです。そのタイミングを逃させない勘と厳しさというのでしょうか。経験が多いので、最初に立てた筋道からずれてしまったとしても、期日に間に合う形で臨機応変に修正をかける技術もそれを支えていますね。

 

人に変容を促す自分が一番変わり続けなければいけない、コーチとは「生きざま」

――すごい、厳しいですが、その人のためになることには違いない、変化を促進するための「スキル・センス・厳しさ」。停滞して困っている人にはとても頼もしいでしょうね。小さいころからの性格にもかかわっていて、まさに天職に見えますが、林さんにとって、コーチングとは何なのでしょう?

コーチングとは私にとって…生き方そのものですね。これ無しでは生きてこられなかったし、これ無しで生きていくのもきっとつまらない。その反面、すごく厳しい生き方というか選択でもあると思います。

人にコーチングするということは、コーチングを受けるということと全く違って、社会に対する奉仕活動のようなものだと思っています。常に自分をその活動ができる状態に保つための鍛錬をしなくてはいけない。人に行動変容を促す立場の人間が、自分だけ変わらないということはまずありえませんよね。クライアント以上に変わり続けるというプレッシャーもあるので、厳しいです。そういう意味で手法うんぬんではなく、コーチングは生きざまそのものにならざるを得ないですね。そのくらいの意気込みで関わらなければ、人は変わっていかないのではないかと思います。

 

――コーチとは、生きざまそのものだと。心にせまるような言葉を聞かせていただき、ありがとうございました。

ありがとうございました。

 

コーチング中の林さん、相手を変容へと導きます

 

◆話し手…林健太郎
合同会社ナンバーツー エグゼクティブ・コーチ
一般社団法人 国際コーチ連盟日本支部 創設者
2010年にコーチとして独立して以後、ビジネスリーダー250人に対して2000時間を超えるコーチングを実施。企業向けの研修講師としても活躍し、年間の登壇回数は100回近くにのぼる。
人が変化する瞬間に立ち会い続ける中で、「人が変わるためには何が必要で、実際に変わる瞬間に何が起こるのか」という見識に裏打ちされた、コミュニケーションメソッドを確立。国際コーチ連盟の依頼で出演した動画の再生回数は50万回を超え、海外からの引き合いも増えている。
【取引実績】アストラゼネカ、HSBC、エスティーローダー、武田薬品工業、トライバルメディアハウス、LIXIL、フィリップモリスジャパン、フェラーリジャパン、ヒューレットパッカード 他多数

◆聞き手…おおばやしあや
SAI Japan / ウェルビーイングコミュニケーションラボラトリー代表、フィンランド国家認定ソーシャルワーカー。人の真の多様性を活かし「はたらく人のwell-being実践」と「組織の発展」の両方をコミュニケ―ション活性から促進させることを目指し、コミュニケーションカードツール開発のほかwell-being(より良く生きる)や本質的な内容の研修を企業、医療機関、大学、行政などに提供。命の大切さを伝えるFMラジオ番組の進行役も務める。