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HBDI®

米ゼネラル・エレクトリック社で人材開発部門にいたネッド・ハーマン氏が「社員の創造性を開発したい」と脳の個性について研究し、人の思考の傾向を4つの分類から表せるよう開発したHBDI®(ハーマンモデル診断)は、林健太郎さんが企業研修やチームビルディングの中で愛用しているアセスメント(適材適所で人材登用を行うなどのための、客観的な人材評価)ツールです。「利き手があるように、人にはそれぞれ利き脳がある」として、直感的・理論的・対人的・計画的…などの傾向をわかりやすく4色から可視化できるこのツールを、林さんが愛用し推奨している理由を伺いました。
(話し手… 合同会社ナンバーツー 林健太郎  聞き手… おおばやしあや)

※この記事を読むのにかかる時間…約10分

 

企業研修につきもののアセスメントの中でも、「断定」がなく活用の余地がある自己診断ツール

――さて、HBDI®です。私も試させていただいて、改めて自分が直感的なところに好みがあることに気づかせてもらいました。視覚的に色の印象が面白いツールですが、林さんはなぜこのHBDI®をお仕事の中で積極的に活用されているのでしょう。

世の中には360度評価とか自己診断型のツール、いわゆる「アセスメント」がいっぱいあります。アセスメントは企業研修との相性が良くて、特に海外から研修依頼を受けると大体セットで組み込んであるんですよね。HBDI®はその中のひとつでした。

そしてこれは、アンソニーが好きなものなんですよね。(※註:林さんがコーチングに出会うきっかけであり師匠であり、国際コーチ連盟日本支部の初代代表理事であるアンソニー・クルカス氏。 参照:林健太郎について)HBDI®は世の中に数あるアセスメントの中でもアンソニーが最も信頼を寄せるもので、私にも習得するようにと当時強く勧められたのを覚えています。そういった背景もあり、ファシリテーターとして正式に認定を受けました。そこからかなり活用しています。

 

――日本ではあまり知られていないですよね、でも林さんは多用されていらっしゃいますが、HBDI®の良さとは何でしょうか?

まず分類が4つしかないのですごくシンプルなこと、次に脳科学に基づいていること、そして嗜好のモデルであるということですね。「あなたは〇〇だ」と断定してしまうアセスメントって結構ありますが、その一方でHBDI®では嗜好を分類するモデルなんです。正確や行動特性ではなく、あくまで「何をより好むのか」というところに軸があります。

「あなたはこういう性格です」とか「こういう行動を取る人です」とかではなくて、「あなたはこれを好む傾向にあります」という話なので、対話に一定の幅が出せるんです。例えば「好むこと」と「できること」は違うときがある。例えば私自身の好みで言えば「感情や直感を大事にして人間関係を育むことに好みがある、そして数字の正確性やプロセス管理などはさほど好まない傾向がある」わけですが、計算ができなかったり、プロセス管理ができないわけではないです。能力ではなく、嗜好…つまり好みを切り出しているんです。

 

――使用されてみて、納得感とかあります?

あります、あります。他のアセスメントを使った場合、その場は盛り上がるんですが、例えば3ヶ月後には「アレ、なんでしたっけ?」とか、「ああ、アレね、難しいですよね~」という形で風化していくのがほとんどなんです。しかしHBDI®に関しては「アレ、使ってますよ」と返ってくることが多い。嗜好を赤・黄・青・緑の4色で表すんですが、HBDI®という名前は忘れても「ウチはやっぱり緑(計画的…等)の人が多いんですよねー」というふうに浸透していたり、新しい人が入ってきたから追加で診断を受けさせたい、とかいうことが起きています。研修の場だけではなくてその後も活用してもらえる。覚えやすさ、使いやすさって、かなり重要なことですよね。

 

リーダーはまず自分の思考スタイルの理解と、自己観察力を身に着けること

――結果表を見ると、ハッキリ4種類に分けられるのではなくて、ひとりの人は基本4つの全ての要素を持っていて、あくまでそのうちの1つ、2つの傾向が強いだけ、というのを色と数字で把握できるのがいいですね。

そうなんです。多様な使い方ができるので、リーダーとしてもすごく使いやすいツールだと思います。「自分はこういう傾向のあるリーダーだ」という自己理解が深まるのが大事なところです。考え方の傾向がわかるから「あっ、だから自分はいつもこういう風に人に伝えるのか」みたいなことが客観的に理解できるようになりますね。

 

――HBDI®を含めて色々なお話を伺っていて、林さんは「まず自分を知る」とか「まず視点を定める」、他にも「物差しを作る」「見積もる」「ある言葉を共通認識として定義する」など…スタート地点をきちんと設定することを大切に考えていらっしゃるんですね。

そうです。自分をまず観察することが大切です。リーダーにとってもリーダーでない人にとっても、実際的に「動く」ということにかなりの比重が置かれることがあるわけですよね。けれどもその前にまず「観察する」ということが必要なんです。「なぜやるのか?」「なぜそのアクションなのか?」「なぜその言葉なのか?」を観察できていないリーダーは意外と多い印象があります。

 

人との違いを理解すると、リーダーは「お前そんなの当たり前だろう」とは言えなくなる

――なぜ、なんのために、の観察なしに動いてしまって、結局うまくいかないと。

このHBDI®もそうですし、マインドフルネスもそうですけど、「動く」ことではなく、「観察して自分の傾向がよくわかる」とか、「冷静に考える力」というのがリーダーのスキルセットである必要があります。そうすると自分の内面と言動との整合性が取れてくるので、よりわかりやすいリーダーになることができる。

…というここまでがまずありきで、じゃあそれを他者にも応用できないか、というのが次のステージとしてのHBDI®の活用の方法だと思います。

これはEQ(こころの知能指数)の考え方を応用しているんですが、EQではまず、自分に感情があるということを理解することから始まり、次に自分の感情をどのように活用すると良いのかを考える。まずは自分のことなんですね。それができるようになって初めて、相手にも同じような感情のメカニズムがあるはずだということを見立てるということができるようになる。さらに言えば、自分の感情メカニズムと相手の感情メカニズムは構造が異なるはずだ、ということに気づけるようになる。

…これができないと、例えばこんな思考になります。「自分はお客様から感謝されることが一番大事だと考えていて、みんなそう思っているに違いない」

果たしてそうなんだろうか、という問いを持てるかどうかなんですが、HBDI®の4つの分類を使えば、もしかしたら相手は違う嗜好を持ち合わせているかもしれない、確認しよう、となるわけです。それがひとつの活用の仕方ですね。

 

――そのHBDI®をひとつの指標として共有して、「今ちょっと〇色っぽくなっている」と自分で気づいて、相手のために表現する言葉を変えたり…。

違いを理解すると、リーダーは例えば「お前そんなの当たり前だろう」という言葉を使えなくなりますよね。ああ、当たり前なのは俺の中だけだったなと気づける。そうしたら「俺の中でこれは当たり前なんだけど、君の中では何か違う?」という問いかけや、今までと違う会話ができたりするかもしれませんよね。これが、相手の思考の傾向や好みが自分と異なる前提でコミュニケーションを取るということなんです。

 

利き脳の傾向を理解すると、相手に合わせたコミュニケーションや、かみ合わない原因を理解し修正することができる

――相手に合わせたコミュニケーションができると。

そうですね、あるいは、かみ合わなかった時になぜなのか理解ができたり、修正したりすることもできますね。そういう意味で、すごく使いやすいですね。

 

自己観察のために優れており、その応用でチームビルディングもできてしまうのがHBDI®

――4種類の嗜好の分布から視覚的に読み取り活用できるのは、確かにいいですね。

そうなんです。4つだから覚えやすいというのがいいんです。同じようなモデルも世の中にはあるんですが、例えばその分類が7つとかだと分類自体を覚えるのが大変だったりします。そういった意味でHBDI®は自己観察のためにとても優れているツールで、その応用としてチームビルディングまでできてしまうみたいな。とても便利なアセスメントですね。

 

――じつは右脳系だとか左脳系ですとか、HBDI®の診断の話には色々あるんですが、詳しくは実際に診断を受けた上で解説を聞くのがわかりやすいでしょうし、今回は林さんがどのようなメリットを感じて活用されているかのお話にとどめさせていただきました。ご興味のある方はハーマンモデル診断についてのサイトをご覧いただいたり、林さんにご依頼いただけたらと思います。ありがとうございました。

ありがとうございました。

 

参照リンク:ハーマン・インターナショナル・ジャパン ウェブサイト

 

嗜好の傾向と、人との違いを位置取りから体感する参加者たち

 

◆話し手…林健太郎
合同会社ナンバーツー エグゼクティブ・コーチ
一般社団法人 国際コーチ連盟日本支部 創設者
2010年にコーチとして独立して以後、ビジネスリーダー250人に対して2000時間を超えるコーチングを実施。企業向けの研修講師としても活躍し、年間の登壇回数は100回近くにのぼる。
人が変化する瞬間に立ち会い続ける中で、「人が変わるためには何が必要で、実際に変わる瞬間に何が起こるのか」という見識に裏打ちされた、コミュニケーションメソッドを確立。国際コーチ連盟の依頼で出演した動画の再生回数は50万回を超え、海外からの引き合いも増えている。
【取引実績】アストラゼネカ、HSBC、エスティーローダー、武田薬品工業、トライバルメディアハウス、LIXIL、フィリップモリスジャパン、フェラーリジャパン、ヒューレットパッカード 他多数

◆聞き手…おおばやしあや
SAI Japan / ウェルビーイングコミュニケーションラボラトリー代表、フィンランド国家認定ソーシャルワーカー。人の真の多様性を活かし「はたらく人のwell-being実践」と「組織の発展」の両方をコミュニケ―ション活性から促進させることを目指し、コミュニケーションカードツール開発のほかwell-being(より良く生きる)や本質的な内容の研修を企業、医療機関、大学、行政などに提供。命の大切さを伝えるFMラジオ番組の進行役も務める。